グッド・ウィル・ハンティング

マット・デイモンベン・アフレックの処女脚本にして代表作。
久々に鑑賞。観る前はタイトルがまさか人の名前だとは思わなかった。
とても良い映画なのだが、最初に観た時とだんだん印象が変わってきた。

マットデイモンはこの映画ではかなりいい演技をしているので、公開当時の若手の中では一番好きな役者だったのだが、最近あんまりパッとしない。
経済的にも精神的にも恵まれない天才が才能を認められて、社会とどう向き合うのか、そこばかり初見の時は観ていたのだが、何度か観ているうちに「ロビンウィリアムスの精神科医は胡散臭いなぁ」「天才がそれで泣くかなぁ」とか我ながらひねくれ過ぎの感想ばかり出るように。

いわゆる天才と言う人種と直接知り合いになる事はめったに無い経験だと思うが、大学時代に天才、もしくは天才に極近い人物と親しくしていた時期があった。言語を縦横無尽に操り、奇行で周囲の人間を鼻白ませ、醜聞に彩られた魂の孤独な、寂しがりの男であった。
ラブレターかと思うような手紙をやり取りしたりしていたが、そのうち決裂してそのまま音信不通、風の噂では故郷で働いているという。*1
彼と付き合ううちに理解した事は、才気溢れる人物は何か他の部分で欠落していると言う事、コミュニケーションに飢えていながら他人を卑下の対象にしがちだと言う事で、屈折もしくは矛盾した性格を苦しみながら抱えている悲壮感溢れる人種であるという事だ。*2

そういう経験からこの映画を観ていると、あの精神科医との魂の邂逅は少しアッサリしていすぎる。
しかしいい映画なのはたしかで、ベンアフレック演じる親友なんか少年漫画の友情のようで実に美味しいし、ハッとさせられる台詞「知識が欲しかったら図書館へ行けば良い、学校に行って図書館で学べる事しかして無いお前はバカだ」(うろおぼえ)なんかもあって、誰にでも薦められる名作と言っていいんだろう。


しっかしマット・デイモンの映画はいっつもラストで主人公が旅立つ気がする。希望=新しい場所への移動ってアメリカ人的だなぁ。

*1:こんな事を書くと彼は絶対に激怒する。「俺の事を君の装飾品にするな」とでも言うだろう

*2:もちろん一人の対象しか知らないし、全ての才人がそうとは言わないが