ザ・スタンド 上巻

とっくの昔に二本組みビデオが出ているテレビ映画の原作。
著者はスティーブン・キング

ビデオを見た時に、「うわぁなんて面白い前半としょぼい後半なんだ」と言うキング映画に対するいつも通りの感想が出たが、前半部分の面白さが尋常じゃなかったので原作を探した。が、本屋でいくら探しても原作がない。
ようやっとハードカバーで出たのが二年ぐらい前だったか。
しかし分厚い、高い、で結局読んでいなかったのだ。
今回は上巻だけ、つまり異常に面白かった前半部分なわけで、
あっという間に読み終わった。

簡単なあらすじ
軍の研究所からウイルスが洩れる。これどうしようもなくヤバイ致死率と感染率。初期症状はただの風邪。感染率99.4%、空気感染も接触感染もする。致死率も99.4%。3〜7日で自分の鼻水に溺れて死ぬ。ワクチンなし。治療法なし。これに感染したまま車で逃げ回った阿呆のせいで、アメリカ全土に蔓延。軍は自然発生ウイルスと見せるために、世界中の国でこれをばら撒く。
そして0.6%の人間を残して人類は死に絶えた。
生き残った人々はそれぞれ二箇所に集まり始める。


なんて面白いプロットだろう。
看守もみんな死に絶えてしまった刑務所に閉じ込められている生き残りとか、病室で隔離されていた男や、聾唖、知的障害者、歌うたい、それぞれの人間ドラマが交差しながら物語は進む。
キングの小説では知的障害者や聾唖者が重要な役割を演じる事が多いのだが、それが好きで。神に選ばれてたのは弱者ってのが。いや別に僕が弱者だからってわけじゃないけど。
古代の人も、神かもしれないと思って漂泊の乞食に一夜の宿を貸したって言うし。そういう優しさをぐっちょぐちょでドロドロのホラー描写の中に入れるキングはやっぱり面白いなぁ。

想像外の方向へ脱線して行く下巻がいろんな意味で楽しみ。