帰り道に血まみれのおじさんを見た。
 
自転車でこけて、花壇の角にアゴをしたたかぶつけたのであろう。アゴ粉砕。アスファルトには大量の血痕が飛び散っていたし、顔面の下半分は血と肉でわけがわからないことに。
 
僕が通りかかった時にはすでに5〜6人の通りすがりの人が手当てや、救急車要請をしていたので立ち止まらないで去ったが、去り際に「どうもずびばせん、ごめいわぐおがげじまず。ずいばぜん」と言う声ならぬ声が聞こえてきた。
痛いなぁ。
 
しかし閑静な住宅街で夜にこけて血まみれになっていても、
人は助けてくれるんだねえ。
みんな助けて当然といった顔だったし、立ち去る人々も「どうしたんですか、大丈夫ですか?救急車は?」などと声をかけていた。
OL風の若い女性がハンカチでアゴを覆ってあげていたり、
若い太めの黒人ファッションの男の子は携帯で病院の医者に興奮気味なタメ口で事情を説明してる。中年サラリーマンは話し相手を勤めて落ち着かせているし、おばちゃんは自転車や荷物が邪魔にならないように道路の隅に移動していた。
 
うーん、少しだけ美しいな。
花壇にアゴ直撃って言う、タンスの角に小指のレベルアップ版みたいな怪我だから、みんな痛さが理解できていたたまれなかったんだろうか。
これお腹が痛くてうずくまってるだけだったら誰も声もかけてきませんからね(経験者