「スティンガー」上下巻

B級ホラー映画そのまんまのバカ小説と言う話を聞きつけて、
さっそく読んでみた。

もういろんな映画のあらゆるシーンのオマージュだらけの
B級SFアクションホラーだった。
あらすじを書くのも気恥ずかしくなるような物語だが、
さわりだけ書いてみる。

「宇宙人から逃げてきた別の宇宙人が地球に不時着、さびれきった廃坑の町には出入りのできない結界が張られ、そこに住んでいた人々を巻き込んで、ていうか殺してゾンビ状態にして操ったり切り裂いたり大騒ぎ。」

字にすると己の脳髄が心配になるが、ホントにこういう話なんだって!

ところが、である。
面白いんだこれ。

パニックものに必要不可欠(と僕は思っている)な
登場人物たちの人となり描写にまるまる上巻使ってると言っていいほどなので、
感情移入しやすいし、
なにより駄目な人ばっかりなんだ。ダメ人間の巣窟。
宇宙人も何もそんなとこに不時着しなくてもっていうくらいダメな所。
メキシコ系と白人系が対立して日々殺し合いしてるし、
仕事がないので町は寂れる一方ってんで皆早く引っ越したがってる。
そんなところ。
だけどいろいろな種類のダメな人たちが、脅威に対して協力したり、
自分を再発見したりしながら、
物語が進んで行く流れの中で皆どんどん魅力的なキャラになって行く。
さいこーだ。

なかでもアル中ダメ親父とボケ老人、この二人のエピソードは
不覚にも目頭が熱くなった。
一般生活の視点で見ると、この二人は完全に廃人レベルなんだが。
廃人の漢気をみた。

これ以上ないくらい爽やかなスッキリした終わり方といい、
読後何も残らないが楽しく読めた。



最近B級SFばっか読んでる気がする。
宇宙人とか。悪い宇宙人とか。トウモロコシ畑とか。
これでいいのか。