ヒトラー The rise of evil

3時間もののテレビドラマ。
少年時代からスタートして独裁者として権力を手中に収めるまでを映像化。

ヒトラー役に「フルモンティ」のロバート・カーライル
他に目立った役者はレーム役のピーター・ストーメア
この人は「アルマゲドン」の宇宙ステーションで合流する変なロシア人とか、「8mm」でビザールなビデオ(というかスナッフビデオ)を撮影してる変態監督とかしてた人。

カーライルの演技は素晴らしい。素晴らしく挙動不審。
演説シーンなんかのヒトラーの挙動を完全コピー。
やりすぎ感もあるが。

しかしもの足りない。
大体において伝記映画は、よほどその人に興味がなければつまらないものだが、興味ゆんゆんなのにイマイチだこれ。
この「ヒトラー」の場合は作り手が当時の敵国側製作なので、終始悪魔のような男扱いである。変態扱いとも言う。

生まれた時から偏執異常者みたいな扱いだが、まがりなりにも国家元首を戦争に負けるまではそつなく務めていた男である。運だけとか、演説の才だけで世界を戦渦に巻き込むなんて出来るわけない。ある程度の能力のある政治家だと言う描写も欲しかった。
もっと掘り下げて、人間性や、意外に知られていない福祉事業や、アウトバーンフォルクスワーゲン開発秘話みたいのがあってもいいだろうに。

これナチズム/ファシズムに対する警鐘として製作したんだろうなぁ。期待はずれ。独裁者に対する映画としてはすでにチャップリンが「独裁者」という珠玉の映画を撮っている。(しかもヒトラーが政権を握っていたその時に公開してる)。ヒトラーの演説模写もチャップリンの方が上。だいたい容姿もちょびヒゲもそっくりだし。

これを観るくらいならチャップリンの「独裁者」をお勧めします。笑えて泣ける素晴らしい映画。
しかしこのようなDVDでも那智としては手元においておかねばならない。ジャケットがね。ステキなんですよね。