華氏911

ボウリング・フォー・コロンバイン」を観て想像していたよりも、
真面目なつくりだった。
「笑える映画」みたいな宣伝は内容とのギャップがあるのでどうかと思うが、
ある意味大爆笑モノなので良いのかもしれない。
 
バラエティー番組によくある「陰謀論者の視点で歴史を再調査」の流れを汲むのかと思って観に行っちゃうと、
バテる事請け合い。少々グロいし。
 
内容の信憑性への疑問や「都合の悪いところは気づかないふりしてスルーしてないか?」
といった意見も、あって当然だがこのドキュドラマでそれを指摘する事に
あまり意味があるとは思えない。
論文と同じで、自分の立場を明確にして、その仮説を証明するのが目的。
そのためには手段を選ばないマイケル・ムーアは立派な民衆扇動者だ。
 
裏読みすると「いや実はマイケル・ムーアもブッシュとすごく仲がいいのでは」とか
「こんな映画が公開されるのは権力側が何か得をするからだ」とか際限ない
(ネット上の華氏911の感想を見てみよ)陰謀論巡りになるのでやめよう。
 

では観てつまらなかったのか、金返せと叫ぶのかと聞かれたならば、答えは否。
 
たとえば冒頭の「小学校で子供たちと絵本を読んでいるブッシュに911テロの報告が耳打ちされる。
が、なすすべもなくボーっと絵本を読むブッシュ。7分間を無為にして上の空の大統領の面」
を観れただけでも元は取れたと思える。
このシーンは見るべきだ、あんな所在なげで頼りないアメリカ大統領の顔は他じゃ見れなそうだし。
 
見た後に、にわか陰謀論者になって友達と語るのも楽しいものだ。